ミツバチの羽音と地球の回転

久しぶりに映画を見て来ました。時間をつぶさなければいけない日があって、なにかないかな・・・と不純な動機で行ったのですが・・・

舞台の一つである山口県にある祝島、その最後の楽園のような場所に降ってきた切実な問題に、すぐに正座をして観たい気持ちになりました。やるせない現実に、気づけば涙も流れてしまうのだけど、空調の利いた快適な映画館で、ただ泣いているだけでは申し訳ない気がしました。この現実をただ悲しい物語になんて貶めたくない。



山口県上関原発の建設現場と、エネルギー先進国ともいえるスウェーデンの政策についてのドキュメンタリーです。この監督さんの前作「六ヶ所村ラブソディ」には原発反対派も賛成派も出てくるようなのですが、今回は反対派の視線のみ。この民主主義の成熟しているはずの日本で、話し合うということすら拒否し、圧倒的な力と強引な理論を振りかざし、思考停止しているとしか思えない人たちの意見など、もう聞くに及ばないのかもしれない・・・。だって原発を勧めたい人たちの意見はたとえばこう。

「第一次産業だけで食べていけると思っているの?」

え?じゃ、あんたらは何食べているの?農業、漁業他そういう人たちの作ったくれたものを食べて、人もまた生きているのにね。

「雇用も生まれるし、もっと豊かにしてあげるのに。”たかがそんな生活”のために、妨害するようなことしてはずかしくないの?」

この豊かな海や土地、そしてそこで暮らしを営んでいる人間らしい人たちがなによりもの豊かさなのでは?確かに島は高齢化しているし、人口だって減っていってる。主な産業は農業と漁業で、確かにお金はないかもしれない。でもちゃんと自立した暮らしがそこにはあって、「強いもの」の理論がすべて正しいわけではない。何が「豊か」なのか?ということ。

そして社会の一番の基本は、働いて食べていくこと。大きな社会もそんな小さな生活の営みが土台になっている。この社会すべて「たかがそんな生活」の集まりなのでは?「たかがそんな生活」をみんな死ぬまで生きているわけでしょ。

言ってしまえば、この資本主義だって近々どうなるか分からない。そうなったときに誰が強いか、って自給自足できる人たちだよね。お金がお金を産む、そんな仕事のもろさの方を私は心配します。

まだまだ知らない現実がたくさんありました。今となっては、知らないでいたことも罪のように感じてしまいます。

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「ミツバチの羽音と地球の回転」

まだ公開中なので、この問題を自分のこととして考えられる方は見た方がいいです!こんな状況でも島の元気(すぎる!)なおばちゃんたちはユーモアを忘れてなくて、本当の強さを見た気がしました。私もあんなおばちゃんたちになりたい!なのでお時間取れる方はぜひ~。



こういう重いテーマは、面等なモノをなるべく考えたくない人にとっては避けたいものだと思います。自分の身に直接降りかかってないのならなおさら。

でも狭い日本、今はもう関東以西だってあやしい。一部地域は既に東京よりも高い放射線量なので、避難すると本末転倒になるという話も。沖縄に至っては隣国の影響もあるし、大きく報道されないので耳に入ることもないでしょうが、世界でも大小の原発事故がここへきて多発しています。日本以外だって、他人事ではない。

それでもなお、地域復興や経済成長のためにはやめられないのでは?などと言っている人のことは、正直私にはもうわからないのです。

そして同じ人間同士なのに、どうしてこんなに対立しなきゃいけないんだろうと悲しくなります。

安全でないエネルギーに頼っている限り、この小さいけれど確かな幸せがある生活も危ないってことではないのかな?絶対の安全などないわけで、実際あんなことになっている。石油だっていつまで買い続けられるか分からない。

しかも生きていくためには原発しかないってわけじゃなくて、むしろ持続可能なもっと良いエネルギーがあるのになぜ転換できないんだろう?と不思議でしょうがないのです。原発か江戸時代に戻るかではないのだから、ちっとも絶望することもない。映画ではその未来のエネルギーに舵を切って、実際うまく回っている国も見せてくれている。スウェーデンは原発どころか(1980年に国民投票で脱原発を決めた)、2020年には石油にも依存しない国になると宣言しちゃってる。希望いっぱい。

同じ人間なのに古いシステムを潔く手放す勇気を持てる者もいれば、同じ人間なのにいつまでも変化を恐れ、古いシステムにしがみついている者もいる。今この時の私たちの選択が未来を決めるとしたら、私たちの未来はどんなものになっているのだろう?まだ間に合いますように・・・。福島原発だって、もう再臨界しているのでしょ?

と書いていたら、うれしいニュースも入ってきました。上関原発予定地の埋め立て免許の延長は認めないと山口県知事が表明したそうです。

映画の中で原発反対のリーダーが言っていたんです。「島の人たちだけで計画をつぶすことはできん。だけど引き延ばすことはできる。その間に社会情勢が変わって原発はだめだという世論形成ができればいい」と。

今日は脱原発の提言を掲げた東電株主たちの総会もあるようなので、大いに注目です。

この世の中は「私たちの思い」で出来ている。だから、希望をもって新しい世界をイメージすることが大切だと思います。そうして世界が少しずつでもよくなっていくと信じていきたい。長々とお付き合いありがとうございました。
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by higumake | 2011-06-28 08:20 | 日々のくらし | Comments(8)
Commented by アンソニーの母 at 2011-06-28 11:58 x
はじめまして
ずっと前から貴ブログを拝見していていつも楽しませ低頂いています。
毎日を丁寧に生活されていて、きちんとお子さんを育てられていてすごいなと思っています。
私は今年はじめに子供を出産しやっと一息ついたところに大震災そして放射能問題。どうしようもない思いを抱えていましたが、ひぐま家のお母さんの肝っ玉ぶりに心落ち着かせること多々ありました。
いつもはブログを拝見したままだったのですが、私の生まれ故郷の近くの上関の映画を見られたことを読んで、ついに勇気を出してコメントさせていただきました。
ひぐま家母ちゃんはいつも正しくて気持ちが良いですね。
またコメントさせていただきます。
Commented by higumake at 2011-06-29 08:28
★アンソニーの母さん、はじめまして!生まれ故郷がこの近くとは、いいところで育ったのですね。もちろん今思えば不便なこともあったとは思いますが、この風景を眺めながら、海に山に豊かな生き物たちに、なんて恵みの多い土地なんだろうと、日本はやはり神様の住む国だなあなどと改めて確信したりしました。
私はずっと東京なので、本当の大きさや広さのようなものを知らない気がするんです。だから私の肝っ玉なんて高が知れているきがする。
こういう時期に出産育児、ただでさえ慣れないのに不安も感じますよね。特に妊娠中や産後1年位って感覚が少し普段とは違うと感じます。私もちょっと前まで何食べよう?と右往左往していたところがあり、今乳飲み子を育てていたら、もっと神経質になっていた気がします。でももうこの世界を生きていかなきゃいけないのだから、自分の中心軸に収まって生活していきたいですね。不安を幼子に見せたくないもの。この世界はそんなに悪いところだとは思わせたくないから。

といいつつ、昨日はいろいろなことにがっくり・・・落ち込んでいましたが、アンソニーの母さんからのコメントを読んで元気になりました!ありがとうございました!
Commented by さち at 2011-06-29 14:21 x
あさこちゃん、タイムリーな記事をありがとう。
映画に気軽に行けないので、DVD化を心待ちにしているところです。

自己完結できることってなんて強いのだろうね。
食べるものを作り育て、自分と大事な人たちの生活をまわしていけること、
問題が起こってもできる限り自分たちの手で解決できること。
長い目でみたときにとても強く豊かなことではないかと思う。
どんなに効率がよくても、自分たちの手に負えないものを抱えるのは恐ろしい。
だって、本当に手に負えなくなるから(ということの意味に気づいてなかった。
猛省)。

長くなったので続く→
Commented by さち at 2011-06-29 14:21 x
→長くなったので、続き。



効率とか豊かさとか幸せとか経済成長って、誰のためのなんのためのものだろう
ね。私は、家族や仲間たちが健康で生きていけること、長きにわたってその営み
が積み重ねられ受け継がれていくことが基本にあると思うんだ。でも、その基本
なり達成したい幸せの像が異なると、手段も違っちゃうんだね。

幸せのなり方はひとつじゃない。
でも、不安におびえる毎日を過ごしたくないしこの子たちに安心安全な未来を残
したい。欲の皮を突っ張らせて破滅するのではなく、素朴でも生きる喜びを感じ
られる毎日が良い。世の中には小さいけれど確かな幸せがいっぱいあるんだもん。
お金やエネルギーを浪費しなくても、科学技術の力と感受性を磨くことで違う豊
かさを手に入れられると思うのです。
Commented by 葵ママ at 2011-06-30 22:40 x
こんにちはー。
この映画、正直かなり気になってました。
放射能関連の情報をさぐっているうちに
この監督のツイッターに辿りつき映画の存在を知りました。
オットに娘を預けて週末にでも見にいこうかな。
Commented by higumake at 2011-07-02 13:55
★さっちゃん、賛同ありがとう。それにしてもちびっこがいると映画ってほーんとに行けないよね。DVD借りても中断されたりしてね(涙)。

今回の事でも電力のみならず、食糧も産業も・・・どんだけ地方に頼ってきたんだろう、と思い知らされた。便利で快適でなんでもそろっていてかっこいいつもりでいたと思うけど、都会のなんてもろいことと痛感します。

そしてほんとそうだね。「手に負えない」の意味の本当の怖さを、身をもって感じている。世界はこれを教訓にどんどん変革を遂げていくところもあるっていうのに、いろいろなことが遅々として進まず、あいも変わらず古いシステムにしがみついている人たちを見て、なんだか日本人がちょっと嫌いになりそうでもあった。今変わらなくていつ変わる?なのにね。未来の人たちに恥じない選択をしなきゃいけないよね。
Commented by higumake at 2011-07-02 14:01
★葵ママさん、この週末は旦那様に協力してもらえそうかしら。ドキュメンタリーって、遠かった事実を自分のものとして考えるきっかけをくれるものなんだな、と私は改めて思いました。この映画は絶望だけじゃない希望のある映画なので、ぜひ見ることができますように・・・。もうこの先はひとりひとりの感性と行動と思いが大切なんだと思うから、希望ある未来を信じていきたいですよね。
Commented by yoco at 2011-07-02 23:13 x
遅まきながら・・・、↓ドットミニオンこっちゃん、あまりにもかわいらしくて^^自分の姿を消去したくなりました^^;(掲載しときながら)
そしてこの映画、前々から気になっていて、今日私の暮らす街でも上映会と監督さんのトークライブがあったのですが、どうしてもお仕事の都合がつかず、また土曜ということで子供達もいるしで、泣く泣く見送りましたが、この上映会を企画した「かえるファーム」さんは、土作りから頑張る無農薬野菜の若い農家さんだそうです。耕せる土地が豊かで健康であることが、どれほど大切なことか。
そして自らが創作できる知恵と力をもつこと。
あさこさんの日記を見ると、いつもその大切さを実感します。
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