のんびり東京散歩 ~浅草・向島の巻

e0105846_10452227.jpg週末のお散歩は、以前から夫も私も気になっていた向島界隈に決定しました。浅草から隅田川を渡れば、作家永井荷風もこよなく愛した墨東の地(現墨田区)。向島の料亭街、かつては賑わっていた玉の井、芸者にカフェーの女給、旧赤線青線街(公娼、私娼たちが春を売っていた場所)・・・なんとも気になる土地です。おさんぽ編は長いので、しばしおさんぽ気分で読み流してくださいね。

まずは電車を乗り継ぎ浅草駅へ。11時過ぎについたのですが、既に人がたくさん!食事処は11時半の開店前に既に並ぶ人もいたりして。銀座線も浅草近くになると、デイバックに手にはガイドブックや地図という外国人観光客が目に付くようになります。この日は私たちも堂々と地図を眺めたりして、ちょっとした旅行客になりました。

e0105846_10453074.jpgまずは腹ごしらえ。かなり昔に行ったきりの天ぷらの「大黒屋」も気になりましたが、店頭にメニューも何も無いため、子連れだったしちょっと遠慮。すき焼きの「今半」は今日は肉の気分ではなかったのでパス。

結局は手打ちうどんの店でうどんや天丼を頂きました。
でもここ!もちもちしっかり歯ごたえのあるうどんや大きな穴子天ぷらは美味で、期待以上のおいしさでした。しかもお昼のセットはお値打ち価格!見た目少なく思えますが、おなかいっぱいになりました。

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おなかも満たされたところで浅草寺をお参り。週間天気では雨予報だったけれど、この日は秋晴れお散歩日和でした。

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運試しというよりは、神様の御言葉を聞きたくておみくじも引きました。そうくんとうちゃんチームは凶!ようたんと私チームは吉でした。しばらくは謙虚にまいりましょう。境内では結婚式や猿回しもやっていました。今まで訪れた中で一番の賑わいだったかも!甘味処の「浅草 梅園」にて、あんみつをお土産に買って行きました。

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言問通りを歩き、そのまま言問橋を渡ります。台東区から墨田区へ。今回のお散歩では水上バス「東京水辺ライン」に乗ることも考えましたが、通常のバスのようにたくさんの便があるわけではないので、今回は無しです。

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橋から横の階段で墨田公園内の「牛島神社」へお参り。正面の鳥居はちょっと変わった形をしています。三輪鳥居という国内でも珍しいものみたい。また狛犬ならぬ狛牛が出迎えてくれます。

境内の撫で牛。撫でた場所の病気が治るだけでなく心も治るのだとか。具合の悪い場所はないけれど、もうすぐ運動会の子供たちが、「早く走れますように」と脚を撫で撫でしているところ。

e0105846_11394127.jpg水戸街道の1本手前の道「見番通り」を行きます。このあたりは水戸徳川家の下屋敷・小梅御殿があったところのようです。小学校の名前も「小梅小学校」かわいらしいですね。堀辰雄はこの学校の卒業生だそうです。

その奥にある「三囲(みめぐり)神社」へ。神社仏閣好きの両親をもつ子供たちはこれまた、お参り大好きな人になりました。手水の仕方も板についてきました。

やさしいお顔のみめぐりのコンコンさん。そしてたくさんの鳥居。新年は谷中と並んで隅田川の七福神めぐりも有名な恒例行事です。こちらの神社には恵比寿神と大黒神が祀られています。

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隅田川沿いを歩きます。左下写真は歩行者のみの橋「さくら橋」。川沿いは桜並木が連なっているので春はきれいなんだろうな~。川沿いの遊歩道を降りると、桜餅で有名な長命寺。私たちは桜餅ではなく「言問団子」にておだんごを購入。大変上品な味わいでした。子どもにはちょっともったいないくらい(苦笑)。鳩の形の最中もあったので、次回があればそちらもいただきたいです。お月見には、こちらのお団子を後ほど伺う「向島百花園」に献上するそうです。

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e0105846_832413.jpgさあ、ここからは、しばし昭和にタイムスリップしたかのような街を歩きます。東京の中のディープな辺りかもしれない。なぜなら戦後しばらくこの辺りは新興のカフェー街、私娼たちのたくさんいた色街(いわゆる赤線、政府公認の売春街)として賑わっていた「鳩の街」なのですから。

今でこそその面影はなく一般的な商店街になっていますが、道端には電柱が並んでいて、空を見上げれば電線が幾本も走り、人がすれ違うのもやっと位の道幅にぎっしりと店が並んでいます。でも道行く人はまばら、なんとなく閑散・・・。うなぎ屋さんなんかもあったのですが、お皿の上に商品はゼロ。店はやっているのだけど、店主はどこも店の奥という感じです。

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e0105846_836041.jpg商店街から一本奥の路地に入ると、壁や柱に模造タイルで彩られた、かっての娼家が残っていたりします。このようなタイル張りの柱や、日本家屋にはない2階部にバルコニーなんかがあると、そこは大抵かつての名残の建物らしい。

右の写真は昭和初期の建物をうまく利用した喫茶店です。このあたり東向島1丁目や、後ほど行く旧「玉の井」東向島5丁目あたりは震災でも焼け残った数少ない土地のようです。かつては「この道ぬけられます」だの「ぬけられません」だのと、数々の甲板やネオンがかけられ、派手な化粧や衣装を身にまとったお姉さん達がたくさんいたのでしょうね。今でもすぐに方向が分からなくなる迷路のようです。そもそも狭すぎる道幅は、火事になっても消防車すら入れないと思う。でも震災では焼け残った数少ない土地。何かに守られているのかな。あとこのあたりってものすごく銭湯が多かったです。500メートル圏内に5軒、6軒と見当たるのです。

わが家のようたん、子どもらしいといえばらしいのか、空気を敏感に感じるところが昔からちょっとあって、このあたりで路地に入ろうとすると、「こわいこわい」言って入りたがりませんでした。確かに少し暗いと言うか空気が重いのです。

街もまた記憶を持っているのかもしれない。人の思いみたいなものってきっと土地にも残るんです。そんな気がしました。

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そしてまたまた迷路のような道を抜けて、続いては幸田露伴住居跡にある「露伴児童遊園」、通称「でんでんむし公園」へ。露伴は自らの家を「蝸牛庵」と呼んでいて、蝸牛(かたつむり)のように財産をすべて背負って引っ越せるくらい狭い、ということを示しているそう。公園にはちゃんとカタツムリも・・・。

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続いて「向島百花園」へ参ります。入園料は大人150円。子どもは無料です。こちらは万葉集など日本の古典に読まれている有名な植物を集めた庭で、唯一現代に残る江戸時代の花園だそうです。今はちょうど萩の見頃、30メートルもの萩のトンネルがとてもきれいでした。

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「百花園」脇の公園では、マイ盤のみならず、マイ椅子も持ちだして将棋を指す近所のおじちゃまたち。良い風景です。その後そうくんは「あの対局どうなったかね?」とそればっかりでした(笑)。そこに売りに来ていたおばちゃんからは、キビ団子を頂きました。5本入り250円。キビ団子ってこういうものだったんだ!その場でゆでてくれるのだけど、団子は小さく柔らかいの。

e0105846_10141537.jpg本日最後のスポットへ参ります。それは「玉の井」。こちらもまた戦後赤線のあった場所です。今はきれいな商店街に。ちょうどびっくり市?なるものが開かれていて、たくさんの人で賑わっていました。それにしてもこのあたりは物価も安いのでしょうか。果物屋さんのお値段にびっくり。私が思っている果物価格の1/3~1/2位なのです!たまたまそこが安いお店だったのでしょうか???ちょっと見ているとひとなつっこい店頭のおばちゃんが「買っていって~!」と声をかけてくれます。

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趣きアル町並みを写真に収めていたら、「いっぱい撮っていってよ!」と洋品店の店主に呼び止められ、店内店外とお宝をたくさん見せてくれました。この方自称「夢とロマンの男」!昔のレジスターや郵便ポストなどをたくさんコレクションしているらしいのです。テレビ東京の「なんでも鑑定団」にも何度も出ているのだとか。本業よりも趣味に生きている。でもどうやって暮しているのでしょうね???ここで私たち15分くらい話し込みました!「また来てよ!しまっててもピンポンしてくれたらお茶くらい出すから。」とうれしい言葉をかけてくれました(笑)。ちなみにうちのダンナ、害のないいい人オーラを出しているのか、見知らぬ人から「シャッターおしてもらえませんか?」とか「道を教えてほしい」とか非常によく声をかけられます(爆)。

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ついつい気になるのは裏道、路地です。家の前に所狭しと植木鉢・・・下町の風景でとてもいいと思うのですが、このあたりもそのうち再開発されてしまうのでしょうね・・・。

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さ、今日のお散歩もおしまいです。東武伊勢崎線「東向島駅」に向かいます。「玉の井」・・・いい地名だと思うのだけど、東向島5丁目と味気ないものに変わってしまいました。でも道端の古い消火栓などには今も「玉の井町会」といった文字が残っていたりもします。かつて一大遊郭街のあった「吉原」だって「千束4丁目」と改められ、ゆかりの地名が次々消えていくのは、その時代を知らない私ですら少しさびしく思うのでした。

「東向島」→「東武曳舟」→「東武業平橋」→「東武浅草」駅に着きました。途中の業平橋駅前がなにやら大々的に工事をしていたので何かと思ったら、あとで分かったことなんですけど、ここに新しい東京タワーが建つのですね!まだ土台すら出来上がっていないようです。

さて今回のお散歩は・・・ちょっとしたカルチャーショックでした。東京って広いな~とも改めて思いました。いよいよ中ほどにはマンションなんてないから、縦ではなくひたすら横に密集した街です。同じ密集でもマンションに住む住民と違うのは、「隣は何をする人ぞ」ではきっとないのだろうなということ。もちろん広い通りにはマンションもあるし、新興の住宅もぞくぞくと建ちはじめてはいますが。

こんな話も聞きました。この地に保育園を建てる。しかしなにせ車すら入れない路地だから、機材を運ぶのすら難しいのです。でもそこは普通に住人が手伝ってくれるのだといいます。皆さんすごく協力的に。そんな話を夫ともしながら、こういう場所は助け合いが当たり前、みんなでひとつの家族みたいにして暮しているんじゃないかって。地域みんなが大きな家族。銭湯もそりゃ賑わうだろうと。

~散歩の後~
e0105846_117193.jpg写真は「梅園」で買ったあんみつ。2つ分を4人でシェア。ひさびさに頂くあんみつは、さっぱりとてもおいしかったです。
墨東(ぼくとう)綺譚 (岩波文庫)
永井 荷風 / / 岩波書店
向島散策の後はこちらの本を読まざるを得ないと思って。当時の玉の井を舞台にした小説です。この後は吉行淳之介の「原色の街」も読むつもり。こちらは鳩の街を舞台にした物語です。

地図を横において読んで欲しいくらいなのですが、今回もよく歩きました。子ども達もよく歩くと思います。(しかも全然疲れないらしい!)東京・・・まだまだ知らないところだらけです!次はどこに行こうかな。わが家の東京散歩はまだまだ続きます。
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by higumake | 2008-09-29 17:48 | 日々のくらし


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